蛇らい

キャラクターの蛇らいのレビュー・感想・評価

キャラクター(2021年製作の映画)
3.2
Fukaseの殺人鬼役の演技が素晴らしすぎる。挙動と話し方から滲み出る不穏さが物語の推進力として一役買っている。発狂しながセリフを発するときは、ボーカリストゆえの音程の取り方をコントローさえしている様にも感じる。

殺人鬼が不意に現れて、凶器がターゲットに到達するまでの瞬発力がカメラワークと編集で、見事に裏切りのテンポ感を生んでいた。アクションが物語全体の先を読ませないためのツールとしても機能している様に感じる。

現実と虚構、善人と悪人が常にコインの裏と表であるという提示がされ、自分の人間性はどこから構築されるものなのかさえあやふやになる演出が、ラストにかけて拍車をかける。

脚本に関しては総括すると良いできだが、やはりサスペンス特有の抜け穴があることは否めない。最終回の漫画に沿っておとり捜査する際に、妊婦の妻を警護も付けず、1人家に残して夫だけが現場に来るのはありえないし、その後に家の妻に危機が迫るシーンで警察よりも早く到着してしまうのはおかしい。さらに、辺見がまだ確保されていない段階で病院、妻と子どもが警護されていはないのはさすがにざるすぎる。

物語を左右する重要な選択が都合主義の元行われる脚本は残念だった。
蛇らい

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