キヲシ

BLUE/ブルーのキヲシのネタバレレビュー・内容・結末

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

松山ケンイチ、東出昌大、柄本時生が素晴らしい。祝賀会の後、人気のない夜道で不意に「ずっと負ければいいと思ってた」「わかってたよ」。横顔の瓜田(松山)と小川(東出)の交わらない視線。タイトル防衛戦を控えた小川が、楢崎(柄本)からノートを見せられて「あいつは強い」と呟くアップ。背の低いイキった中学生に蹴られていた楢崎が瓜田の最終戦の相手と戦う。「格好だけでいいんで」という彼を柔やかに指導していた瓜田のアドバイスが浮かび、俄に動きが良くなる。瓜田の後頭部がシルエットで。まさか、コメディ担当と思ってた楢崎に泣かされるとは…廊下で力無く腰かけた彼の姿に重なるアナウンスで敗戦を知る。ちょっと早めのカットで、実にテンポ良く描かれる群像劇。瓜田を嘲る赤髪(守谷周徒)とのスパーリングを直訴する前の楢崎の表情のアップ。「プリンいくつ食べる?」の両親と入れ替わった瓜田と楢崎がベッドに近付くと、泣く楢崎と「俺の分までって言ってくれたろ」と声をかける瓜田の後ろ姿に切り替わる。序盤の千佳(木村文乃)との「前髪切ったの気付いた?」の件で小川(東出本人?)がわかる。瓜田とバンデージとボクシングを始めるキッカケに、小川のリモコンを混ぜるか。パンチドランカー症状で朦朧とする小川の描写。楢崎と中学生カップル、ライセンス、キスに広告。試合に向けた小川と楢崎のランニングに乗る劇伴。ちょっとあざとい感じもあるが。タイトル戦相手の対策「ガードからのアッパー」「バックステップからのフック」を小川の部屋で。怒鳴り込むおばさん、引越とバンテージ、前座の瓜田と相手役松浦慎一郎の肉体の対比、千佳の涙、客席から「アッパー」と声をかける瓜田、引きの画でリングを捉えた中での鮮やかなKO場面(あ!思わず声が出た)までの充実ぶり。鮮魚市場でシャドーを始めた瓜田の後ろ姿と軽いステップの長靴、河川敷で小川の後を追う楢崎の「あ、もしかして」というエンディング。「青コーナ~、挑戦者…」と聞こえてきそう。
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