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夜明け前のうたのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

夜明け前のうた(2020年製作の映画)
2.9
1960年代の沖縄、精神障害者が隔離された離れ小屋『私宅監置』というかつてあった制度。

日本の本土では1950年に禁止された制度ですが、当時アメリカ軍占領時代であり尚且精神病院が無かったため、琉球政府において『私宅監置』が認められ1972年の本土への沖縄返還に伴いようやく廃止されたそう。

その間、私宅監置された『名もなき人』達を追ったドキュメンタリー。

なのですが、実態調査や当時を知る人へのインタビュー、私宅監置小屋の再現と宿泊体験等
、実態の酷さを伝えつつも、やや詩情に傾きを置いている印象だったので、個人的には監督が出してる著書と、当時の私宅監置の状況の写真を撮り実態調査をした方の著書を読んでみないと、当時の沖縄の背景を知ることも、精神医学が本土と沖縄でどのくらい差があったのか分からないので、過去にこういう制度があったという取っ掛かりへの導入みたいな作品かと。

私宅監置の小屋は酷いもので、狭く、光もあまり差さず、食物の差し入れる穴、排便は部屋の隅の穴から、寝床は固く、服は着たきり、体を洗うにしても小屋の向こうから水をかけられる程度。

知的障害のある人、自閉症、強度行動障害のある人が対処になったそうで『家族の恥』→『地域の恥』で隔離された人達。

闇に葬られた親族、子孫がその存在すら知らないのは悲しい。
彼らのマブイ(魂)がニライカナイで安寧を得られていると良い……などどは身勝手過ぎる感傷だと分かっていますが。

沖縄については知らないことが多いな……と改めて思いました。