takanoひねもすのたり

正欲のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.4
多様性のパラドックス。

原作既読。

キャストはみな良かった。

理解されにくい特殊性癖と生きずらさを抱えた人たちが題材で、その性指向を『水』という対象にし嫌悪感を抱きにくいもので設定した時点で、原作者の"毒"の入れ方の上手さを感じる。

テーマの主題だけど、性欲の匂いは実はあまりしない。
図式は、水に性的興奮を覚える→普通じゃないから誰にも言えない→親密な関係を同性異性関係なく構築出来ない→社会通念と折り合いがつけられない、って所のような。

不登校の子供への母親の不安と葛藤は理解出来るけど、息子に対して理解?寄り添い?が薄かった稲垣吾郎が言ってた内容は間違いではないと思う。某少年革命家がいい例じゃない。

大也が八重子を突き放した時の台詞が好きだ、次点に「私は私が気持ち悪い」




言えるのは、かつてのマイノリティは現在のマイノリティとは層が違う(00年代〜)LGBTQ+から排除されがちな層があるよなあっていう……"多様性"は彼らには適用されないらしい。
この作品の、マイノリティからも理解されにくいマイノリティって視点は鋭いと思う(マジョリティ化するマイノリティ)