Jun潤

Mr.ノーバディのJun潤のレビュー・感想・評価

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)
3.5
2021.06.15

予告を見て気になった案件。
主演を務めたボブ・オデンカークが製作に名を連ね、「ジョン・ウィック」シリーズのデレック・コルスタッドが脚本を務めた作品。

閑静な住宅地に暮らすハッチは家族に突き放され、変わらない毎日を過ごしていた。
そんなある日、家に強盗が押し入り、何もできなかったことを家族や警察にまで軽蔑される。
唯一慕ってくれる娘がネコのブレスレットがないと言い出し、強盗が持ち去ったのではと考えたハッチはとんでもない行動をとる。
その行動が引き金となり、ロシアマフィアまでも巻き込む大騒動に発展していく。

今作特に印象的だったのは画の強烈さとBGMですね。
序盤のうだつの上がらない日々には無音か、その雰囲気にふさわしい重低音が響くBGMだったのに対し、ハッチが大暴れするようになってからは軽快で扇情的でセンセーショナルな音楽が鳴り響きました。
また、場面の音もセリフも置いてけぼりになる音量のBGMは個人的に苦手ですが、今作では場面で鳴る銃声や車の衝突音すらBGMの一部に落とし込まれ、音が一体となって襲いかかってくるような感覚になりました。

過去に見た「ジェントルメン」のオシャレでスタイリッシュな画と違い、どこにでもいそうなオヤジたちが、大量の銃火器をもってボロボロになりながら敵をボコボコにする画には無骨さと、スタイリッシュさとはまた違った爽快感がありましたね。

今作のような悪対悪の構図は嫌いでは無いのですが、痛々しいまでのボロボロ感と報復に次ぐ報復、そのきっかけとなった事件の裏側にも同情の余地がある事情が垣間見えるなど、やれやれー!と手放しには応援できない胸糞悪さがあり、個人的にはマイナスポイントでした。

対立構造がコロコロ変わりましたが、根底には家族への愛情があり、とてもわかりやすいものになっていて頭がこんがらがることもなかったので、そこはプラスでしたね。

ハッチの正体についても明確な描写はなく説明のみでしたが、キャラの行動などから想像はつきますし、それもあって終盤の人間関係はスッと入ってきて、オヤジたちが銃をぶっ放しまくる強烈な画に集中することができました。

その辺にいる冴えないオヤジたちも怒らせたら怖いのでしょうね…。笑
Jun潤

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