大映の「西遊記」シリーズ第2作目。ストーリーは前作の続編で悟空と三蔵は続投だが、八戒が羅門光三郎に悟浄が伴淳三郎にチェンジ。トホホな感じが漂っていた前作に比べ、特撮・物語とも格段にレベル・アップしている。
特撮的には、本作からオプチカル・プリンターを導入したとかで、合成カットが透けていない。ちゃんと合成されている。特にマット画との合成カットが良い。明らかに鳥取砂丘やどっかの野っ原で撮影されたと思しき映像なのは前作と同じだが、それを無理矢理シルクロードにしてしまう強引かつ大胆なマット画合成。後年の堺正章版「西遊記」で慣れ親しんだ、あのマット画合成が要所要所に登場する。だから気分が盛り上がる。和製「西遊記」モノにおけるぶっ飛んだマット画の伝統は、本作から始まったに違いない。
物語的には、三蔵に一目ぼれした女妖怪を演じる清川虹子の怪演が面白すぎる。他にも、結婚式にはウエディングマーチが流れるし、観音様は微妙に俗っぽいし、こちらも堺正章版と似たテイストを感じる。やっぱ「西遊記」はこうでなくっちゃねと満足できる。上述のマット画も然りだが、こうしたテイストを感じ、エレクトーンみたいなキーボードが多用される劇伴を聞いていると、堺正章版の制作スタッフが(ゴダイゴも含めて)本作を参考にしたのは間違い無い!と勝手に邪推してしまう。
ただし、三蔵は相変わらずキャラが弱く、八戒も前作のアチャコに比べて見劣りがする。サブキャラとはいえ、このパワーダウンは実に残念。邪推ついでに言わせてもらえば、本作の轍を踏むまいと、堺正章版では夏目雅子と西田敏行をキャスティングしたに違いないと思う。