ノラネコの呑んで観るシネマ

映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.6
10年代以降のクレしんのベスト。
エリートを養成する天カス学園小学校に、クレしんたちが体験入学。
そこは一見すると多彩な生徒たちが活動するユートピア。
しかし実はAIが付与するエリートポイントなるモノに、全員が支配されているディストピア。
ポイントが高いほど優遇され、低くなるとどん底の学園生活が待っている。
キッズアニメの荒唐無稽な描写では無い。
実際これそっくりのソーシャルクレジット制度が、中国で始まっている。
だからクレしんの世界でも、妙なリアリティがある。
そんな学園に生徒をおバカにする吸血鬼ならぬ吸ケツ鬼が出没し、クレしんたちが謎に挑む。
ミステリの部分もよく出来ているが、泣かせるのはエリートになりたがる風間くんの動機と、エリートディストピアを否定するかすかべ防衛隊の葛藤だ。
クライマックスは、クレしん史上ベストな「オトナ帝国の逆襲」をちょっと彷彿とさせる。
子供たちの友情物語にオトナなテーマを内包させた傑作だと思うが、永遠の5歳児に寄り添ったオトナ視点の欠落ゆえ、やはり原恵一は超えられていない。
あれはあれで、クレしんを小さなおともだちから奪って、大きなおともだちのものにしてしまったと言う批判はあったが、世知辛いオトナ視点がクレしんたちのピュアな世界と対比され、物語をグッとディープにしていたんだよなあ。
ブログ記事:
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