このレビューはネタバレを含みます
いやここ10年ぐらいの作品の中では頭抜けてませんか?
まずこの作品のテーマの柱の1つであるミステリーの部分がわりとまっとうに作られてたのが良かったですね。手始めに容疑者候補紹介とばかりに印象的なキャラがどんどん顔出しだけされて「今回キャラ多くない?消化しきれる?」となるのがいつもと違う感じで、期待を煽られました。
脱出経路の無茶さや凶器の非現実感はギャグアニメ的ですが、自分が疑われたことに気づいた真犯人が自演して逃れようとするとこや、本当の被害者(風間くん)と自演した真犯人の死体状況(死んでない)の違いや、ミスリードの仕方など結構ふつーにミステリーやってて驚きました。
もう1つの柱である風間くんとの友情についても十分に堪能できました。
「時がたって小学校が変わって離別する未来」が示唆されるのって今まであんまりなかったと思うんですよね。それにしんちゃんと風間くんがあれだけマジで喧嘩したりチャンバラしたりするのも異例だったので胸に来るものがありました。最後マラソンでサシで決着つけるのもまさに青春って感じでテーマにピッタリの締め方でした。
風間くんとの決着以外の部分でも、マラソンパートはクライマックスなだけあって全体的に気持ちよく盛り上げてくれましたね。
チシオちゃんの挫折理由を足の怪我じゃなくて変顔コンプレックスにしたのって結構攻めた決断だったと思うんですよね。最後の山場であれだけ変顔を押されると「もうちょっとストレートに感動させてくれよ」って思っちゃうんですけど、でもだからこそしんちゃんの「変な顔じゃないゾ!頑張ってる顔だゾ!」が綺麗事じゃなく説得力を持った台詞になったと思うので、あれで良かったんだと思います。
野原一家の使い方も良かったですね。家族愛を全面に押した作品も嫌いではないですが割と食傷気味だったので、今回みたいにピンポイントかつ効果的な起用にはセンスを感じました。
ちょっと気になったことといえば、典型的なAI採点系ディストピアである学園の改革(?)がおざなりに済まされてしまったことですね
尺の問題もあるしテーマもブレるのであえてそうしたのだと思うし不満なわけではないですが、エリート組と落ちこぼれ組間の確執とか結構掘り下げられるテーマもあると思うのでそっち方面の話として作られた作品も見てみたいな~という気持ちになりました。まあそう思わせてくれるほど魅力的な舞台設定だったってことですね。
色んな要素が詰め込まれてて下手に全部消化しようとするととっ散らかった作品になってしまいそうなところですが、そこらへんは上手く取捨選択されていて綺麗にまとまっていて観やすい作品に仕上がっていたと思います。
1個だけ不平があるとしたら、いい加減芸人枠やめたら?ってことぐらいですかね。あれホント誰得要素だと思うので。。。