Punisher田中

ハウス・オブ・グッチのPunisher田中のレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
4.2
貧しい家庭の出であるパトリツィア。
彼女は、イタリアで最も格式高いグッチ家の後継者の1人、マウリツィオ・グッチととあるパーティで出会い、一目惚れ。
遂には結婚するのだった。
しかし、グッチ家の持つ力の強大さに充てられたパトリツィアは、マウリツィオの手綱を握り、次第にグッチを支配しようと計画する。

80歳を超えても尚、ここまでクオリティの高い作品を生み出せるリドリー・スコットに脱帽。
作りはどことなくゴッドファーザー等の名画のように重厚感のあるものとなっており、159分と長尺ながらも全く飽きさせないように工夫が凝らされているのが良い。先に挙げた名画同様、非常に肩へと力が入る作品なのは間違いないし、鑑賞後の疲労感は途轍もないが、滑稽で皮肉たっぷりな物語に仕上がっている作品で鑑賞疲れできるのは珍しいと思うので、是非劇場で体感してどっと疲れて欲しい!
名優達による演技という名の素晴らしい表現の応酬、荘厳且つ美しくも時にはポップに流れる劇伴、そして極め付けは最高にシックでゴージャスな画面構成・色彩構成で作り上げられたにも関わらず、中身は最低で醜悪な人間模様という、ある意味チグハグな作品とも云える。

そして今作、一番の見所となるのは各々が身につけている衣装。
そこにいるべき人間、相応しく無い人間、その場に存在する人間のカーストや立ち位置を見事に表現した衣装は映画衣装のお手本そのもの。
やはりグッチの名を冠する作品なだけあって、衣装はかなり拘りを持って作られている印象。
この滑稽さ、愚かさを反面教師として真面目に学ぶのではなく、ただただこの滑稽さ、愚かさを楽しむことこそ今作の醍醐味に感じられた。