のっち

ハウス・オブ・グッチののっちのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
4.0
What the game are you play?

マウリツィオ・グッチがミラノで暗殺されるまでのグッチ一族の歴史。

ブランドの本質を暴いた映画としてとても良い。ブランドのネームバリューなんてプロデューサーのビジネスセンスとデザイナーの実力によるものだと証明された。ジル・サンダーのいないJIL SANDERのように、リカルド・テッシが就任してからのBURBERRYのようにブランドとは生き物なのだと。トム・フォードのコレクションは改めて見ると、グッチの保守性とかけ離れていてとても魅力的に映る。一方で現デザイナーのアレッサンドロ・ミケーレが劇中パウロのように見えてしまうのはとんだ皮肉かもしれないと考えてしまう。

物語としては、ケチのつけようがない。文句のつけようのない役者陣と名監督が、一族の権力争いを豪華に描いた傑作。リドリー・スコットであることを忘れて見て、こんな映画作れるのすごいなと感動してた。
要所要所のアートネタも好きで、クリムトの絵を見てピカソ?とか言ってみたり、ペントハウス買えるだけのBOCCAソファを登場させたりと、目に嬉しい仕掛けの宝庫。その中でも執拗に目につくGUCCIのビットローファーの意味を見出そうとすると面白い。GUCCIを助けるきっかけにもなり、グッチ一族の崩壊のきっかけにもなり、最後は自分自身を滅ぼしたときのアイコンでもある。
ブランドを描いた皮肉としては非常に良いのでは。にしても、GUCCIもよく協力したな。
のっち

のっち