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ハウス・オブ・グッチのmegurosのネタバレレビュー・内容・結末

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

いかにして現在のグッチにグッチ創業家が誰1人としていなくなったのか、お家騒動の顛末を描く。

家業の経営方針をめぐって夫婦の間で意見の対立が生まれ、そもそも仕事が忙しいため疎遠にもなる中で、家族を悪く言われ(ゴミ呼ばわり)、仲を引き裂かれ、マウリツィオ自身は無能とまで罵られる(半分しかグッチの血が流れていないという発言は特に酷かった)。美人の友達パオラと久々に出会ったタイミングで離婚を切り出すと、占い師との共謀で復讐が計画される...という話で、むしろ良くある逆恨みなのかもしれないし、それだけだと育ちが違う危険な虎を家に招き入れないように結婚は慎重にしようね、という変な教訓を述べられている気がしてならない。

わざわざ「最後の決闘裁判」と比較する必要はないのかもしれないが、アダムドライバーが実際はとんでもない奴だったという反転する描写も今回はほぼ見られないため、女性の物語としては大きな後退であり、ガガ演じるパトリツィアがエネルギッシュではあるもののアクが強いだけの平板なキャラクターにも見えてしまう。

実際の裁判でも、パトリツィアの中に殺意が生まれたのは(パオラの存在ではなく)マウリツィオが株の売却を検討していると知った時という記録があるため、”お金では買えないグッチ精神”を元々はアウトサイダーであったパトリツィアこそが獲得していく話として、グッチの破壊者であるマウリツィオを殺すことによってグッチを救い、グッチ精神の継承者として法廷に現れるような、パトリツィアという1人の女性にフォーカスを絞った物語の方が現在の文脈も含めて良かったのではないか。と勝手ながら思ってしまった。

しかし、自分が持たざる者で、自由に行動できる身分で良かったと思う。自転車移動してたら殺されてしまうなんて不自由が過ぎる。
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