Carly

モーリタニアン 黒塗りの記録のCarlyのレビュー・感想・評価

4.0
911-あのテロ事件は一体どれほどの人の人生を狂わせたのか、それを改めて知ることができる作品。フェンスの向こう側に閉じ込められた真実、そんなものははじめからなかったかのように溶けて消えた正義。裁判もなくただ拘束され続けた彼が正気を失わずにいたことが信じられない。彼は本当に強い心の持ち主だったのだろう。
弁護士を演じるジョディ・フォスターの眼差しや言葉のひとつひとつにこの作品の重さを感じる。やっぱり素晴らしい女優さんだ。権力には屈しない、正義を貫く、そんな意思の強さが見え隠れする。
黒塗りの文書が出てきた時は正直かなりゾッとした。これは間近にあるものだ。あのアメリカでさえもこうなのか、と絶望を覚えもする。都合の悪い事実を隠しているのはどこの国も同じ。ただ、それと戦う姿勢の違いは確かに感じた。そういうところにやはり日本とアメリカの違いがある。さて、わたしたちはいつまであの黒塗りの文書を何でもないものだと流し見るのだろうか。自問自答をせざるを得ない作品でもあった。
Carly

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