このレビューはネタバレを含みます
『CUBE』1997年カナダ
『プラットフォーム』2019年スペイン
に連なる“密室不条理モノ”「不条理シチュエーションスリラー」や「SFホラー」とも呼ばれるカテゴリ。どちらかといえば映画ではマイナーな国かインデペンデント系に目立つ手法。
さわりで日常の描写があって、しかし突然大型建築物の空調ダクトのような“TUBE”内で目が覚める。リサ(ガイア・ワイス)
我々は、直前にヒッチハイクをさせてくれたアダム(ペーテル・フランツェーン)が急ブレーキでリサを気絶させた場面を覚えているので、彼の仕業かとも考えてしまう。しかし途中でそのアダムもチューブ内を彷徨っている事を知る。
しかしリサはいつのまにかSFチックなボディスーツを着せられているし腕には着脱不可能の光源兼タイマーが嵌っている。アラームとともに出現する数字は時間のようにも見えるがその意味はわからない。
——我々はいくつかの視点と意識の中でこの作品と付き合う事になる。まずリサの視点で「なんとか助かって欲しい」、そして「何者のしわざでこんな事になったのだろう」と考える。
しかしリサがそうであったように、やがていくつか「手がかりめいたモノ」から「解」を探し始める。しかしその先には自身の良心の呵責に迫る家族や娘のビジュアルが登場する。
果たして明快な結論はあるのか。合理的な説明がなされるのか——と期待する中で気づく。
——本作はフランスの作品である。フランス人は不条理な映画を「芸術」とし、好む傾向がある、本作がフランス制作である事を思い出す。物語の中途でバッサリ終わることも彼らならやりかねない——
はたしてそこまで無責任なエンドではなかったものの「何度も死んだ」とのなぞかけを残して終劇。
正直失望感があった。もしかすると続編があるパターンなのかもしれないが「気になった時が観たいとき」なのがこの手の作品。