大道幸之丞

ディメンションの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

ディメンション(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

原題は「Proximity(近接性)」と、やや難しいので「ディメンション(次元)」としたのだろうか。これはCGの取り組みが真剣で王道、なかなか見ごたえがあった。

「未知との遭遇」以来、「宇宙モノ」やいきなり異星人が攻撃・侵略の意図がある「インディペンデンスデイ」など設定が出来上がった作品は多かったが、宇宙人がまだ意図もわからない状態でコンタクトしてくる本格的な作品はめずらしい。

当然現代のSNS過多な社会で宇宙人とコンタクトした人物が投稿したら反応はどうなるのか、どう反応されるのか」の描写にかなりウエイトがおかれる。ここで似たような体験をしたとい少女サラ(ハイディ・クアン)と出会う。

このサラは中国人系の混血女優だが、日本人好みのルックスで、男性諸君はここで思わず身を乗り出す事だろう。

ただしそれは「フラットに話を聞きたい」と偶然会ったブロガーエージェント・グレイブス(ショー・ジョーンズ)のオフィスに訪ねていくところから、急転直下。皆が期待していた(?)陰謀と裏側での戦いに突入していく。ここで主人公のアイザック(ライアン・マッソン)が宇宙人との接触以来、どうも特殊な能力を授かっている事が判明していく。

ロサンゼルスのオフィス街のビルから出るとそこはなぜか中米コスタリカであったり、国連の1機関として極秘任務のあたるISRP(国際宇宙調査プログラム)警察と呼ばれる秘密エージェントが宇宙人の存在を知る人間を追い詰める。作品冒頭でカナダでUFOに連れ去られるカール(ドン=スクリブナー)は地球に戻ってから自力で宇宙人とコンタクトする装置をそろえアイザックらと合流する。

個人的に残念なのは宇宙人が質問する中にイエスキリストが出てくるが、欧米でのキリスト教離れは加速的で、信奉者がここで「宇宙人さえも心を打たれる偉大な存在」と無理やりねじ込んだようで、リアリティがなさすぎる。
また、そんな予感はしていたがサラとアイザックは結局恋仲となり、大自然の中で暮らし始めるのだが、研究から離れ、世俗から離れる生き方を選ぶことにおそらく誰も共感しないだろう。使命を感じないのか、と。

まだ「第三種接近遭遇に成功した!(だからどうした!)」が結論と強引にエンドさせる「未知との遭遇」の方が生真面目で潔いのかもしれない。しかし「今の時代に宇宙人と遇う」という構図は「シン・シリーズ」とにたもので、どんどん取り組んで欲しいと感じた。