滝井椎野

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライトの滝井椎野のレビュー・感想・評価

5.0
凄みのある映画ってのがたまにあり、『怒りのデスロード』や『バーフバリ』なんかにもこれを感じたが、本作がまさにそれだった。間違いなく『怒りのデスロード』を意識した場面等もあり、ファンとしては嬉しくなった。
元のアニメは観ていなかったのだが、それでも十二分に楽しめた。
内容的には少女たちが未来に進むために悩みや葛藤を乗り越えるという王道ストーリーだったと思うのだが、画がこれ以上無いほどに強く、お恥ずかしながら全容を理解するに及ばなかった。恐らくシリーズを観ていればもっと理解が深まったのだろうと思うと、何とも悔しい。そう思わせてくれる作品だった。
個人的に大変好ましかったのはキャラクター達の関係性。少女たちのとんでもなく大きな感情がこれ以上無いほどに激しくぶつかり合う。また、それぞれの組み合わせごとに違った感情のやり取りが描かれていて、これが素晴らしい。さらにとんでもなく強い画作りでそれを激しく演出し、こちらは画面から目が離せなくなる。まさに映画を超えた体験で、映画館という場の持つ力100%を軽く超える力を感じさせてくれた。
この感想を上手く言葉に出来ないのが何とも歯痒いが、まさに凄みという言葉がピッタリくる作品だった。極稀にこういう作品があるから面白い。
とりあえず、前作を観ていこうと思う。


劇場にて再鑑賞。
今回はきちんとロンド•ロンド•ロンドも履修した上での鑑賞だったが、やはり前回以上に理解が深まり良かった。

本編にてスタァライトの結末のその先へと至った華恋とひかり達だが、劇の終幕は舞台少女の死と同義だった。彼女達の死と再生がテーマである本作、個人的に良かったのが、キリン=我々観客の役割の変化。本編ではただ観劇するだけだったキリンが、本作では燃料となり歌劇少女の再生を助ける役割を担っている。演じる者とそれを観る者の関係の理想の姿を観ることができた。
今まで生きてきた過去や生活、我々観客といった、全てを燃料として再生産を果たしたラストは圧巻としか言えず、そうして迎える結末はこれ以外考えられない程のもので、この感動を言葉に表せないのが何とも歯痒い。
登場人物たちもそれぞれの関係に決着をつけ、結末のその先へと歩み出す。皆が自身のポジションゼロを見つけ、舞台少女として生きていくその未来が垣間見えるエンドロールがまた素晴らしい。
エモにエモを重ねた本作、観るほどに新たな解釈を発見することが出来る為、観飽きるということがない。間違いなく名作だった。
「列車は必ず次の駅へ。舞台少女は次の舞台へ」
滝井椎野

滝井椎野