一言でいうと、面白い展開に蛇足が重なった事で中途半端な面白さとなってしまった作品。作風としてはレディ・プレイヤー1+美女と野獣+ミュージカル性+匿名性による問題などを混ぜた作品だか、やりたい事が多すぎてゴチャついた印象がある。
主な物語は面白いが起承転結のバランスが悪いため退屈な場面が多い。そのため、1つのシーンで見ていると退屈だが、ストーリーとして思い出すとそれなりには面白い。最近は「小さな私が世界を救うような大きな障害に立ち向かう」的なストーリーが多いが、「大きなスケールの物が小さな問題に立ち向かう」ストーリーが個人的にはハマった。また、細田さんの世界観やテクニックによる「アニメ(バーチャル)世界の中のバーチャル」の表現がとても面白いのでぜひ見て欲しい。
ただ、所見で見ているとやはり蛇足な部分が多く飽きてしまうと思うが、伏線となっている所もいくつかあるので耐えて欲しい。また個人的な感想になってしまうが、登場人物の行動理由に全く共感ができずに世界観に入りきれなかった事も退屈な要因であったと思う。終わり方としてもハッピーエンドでもバッドエンドでもない所が中途半端に感じてしまう。
小さな問題を解決するための等身大の物語が好きな人、または「バケモノの子」以後の細田作品が好きな人なら十分に楽しめるものだと思う。また、映画の中で「歌」が大きな見所となっているので映画館の音響で聞くことをオススメする。
