まさ

竜とそばかすの姫のまさのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.7
田舎町の一人の女子高生すずを通して、現実世界の裏側で広がる仮想世界を描く。「人生はやり直せない、Uならやり直せる」そんな仮想の中で繰り広げられる華やかな世界。現実社会の怒りや悲しみ、抑圧を裏返すように、自由で華やかな世界が広がる。過去の悲しみから歌うことができないすずは、仮想世界でBellとして素敵な歌姫に。そんな中で、乱暴で荒くれものとして正義のスターから追われる竜との出会い。そうそうお姫様って、やんちゃな男に惹かれるんだよな。やんちゃな男の裏に覗かせる優しい顔に触れた日にゃあんた、もう惚れてまうやろ。やがて竜と彼を助けようとするBellも追い込まれていく。仮想世界に巻き込まれる現実世界。竜が抱える現実世界とは何か、そして彼に救いはあるのか。仮想世界はその中で完結されるのではなく、現実世界とのシナジー効果によって現実世界だけでは変えられなかったものを変える力を持ち得るという、これからの世界の可能性を感じさせる作品。ストーリー展開も去ることながら、作品全体を支える中村佳穂の歌声は圧巻。このレビューを書きながらも聞きまくっている。そうか歌声も世界を変えるんだな。
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