NagiCheri

MONSOON/モンスーンのNagiCheriのレビュー・感想・評価

MONSOON/モンスーン(2020年製作の映画)
3.0
ベトナムの今を見たくて鑑賞しました。
ベトナムを舞台に、ベトナム戦争のアメリカ、旧宗主国フランスなど、歴史が交錯しています。
ストーリーはあるのだけれど、そちらはうっすらとしています。

交通の喧騒の中に主人公の静謐さが際立ちます。
セリフのないときの主人公の内省が、表情のゆらぎや仕草で描かれ、そこも見どころのように感じました。
主人公がモンスーンに漂うようにサイゴンからハノイへ浮遊する、その揺らめきがゆりかごのようで、心地よく軽い眠気を誘いました(笑)
主人公は詩的に存在していて、その一瞬を止めると絵画のようでもある、審美的なムービーでもありました。

終演後、外の交通量の多い道路に出て「随分静かだな」と感じたのは、映画の中でベトナムの迫力あるバイクや車の交通音のBGMの中にいたからなのでしょう。