きゅうげん

U・ボート ディレクターズカットのきゅうげんのレビュー・感想・評価

4.2
戦争映画界で傑作といえば潜水艦モノ!
潜水艦モノで傑作といえば『U・ボート』!
ドイツのUボートを題材とする潜水艦映画といえば、やっぱり『眼下の敵』と本作の二大巨頭でしょう。

監督は『ネバーエンディング・ストーリー』で有名な、先日逝去されたヴォルフガング・ペーターゼン。主演は『デューン/砂の惑星』のレト公爵でお馴染みユルゲン・プロホノフ。
幽霊のヨハンさんは、かの『アングスト』で記憶に焼きついたアーウィン・レダーですね。

ナチ上層部に辟易してるベテラン陣と、カラ元気で互いを鼓舞する若者たち。はじめは合宿ムードなワクワクを覚えますが、あっという間に海中の極限環境下へ。
兵士たちの顔は生っ白く目元は赤く滲んでみるみる不健康に。機雷爆撃や機銃掃射、艦砲射撃による衝撃や浸水などで地獄のような責め苦が続きます。特にジブラルタル海峡突破前後の絶望感は筆舌に尽くし難いものが。

とはいえ、みんなでサッカーの試合速報をチェックしたり、音楽かけて歌ったり踊ったり、いろんなところに燻製肉ぶら下げたり、攻撃されてるのに艦長が外に出たまま全速前進したり、ある程度のファンタジックな要素の、映画的に機能する説得力にも確かなものがあります。
それぞれの個性的なキャラクターも愛らしく、野郎どもの群像劇ドラマとしても見応えがあります。何よりユルゲン・プロホノフの親分感がハンパないです。

セットや特撮も素晴らしい完成度!
随所に見られる、水兵さんたちの背中を追う躍動感・スピード感あるカメラワーク、ステディカム使わずに文字通り猪突猛進の体当たり撮影したってマジですか!?
あんまり頭をぶつけるからスタッフはヘルメット被ったとか。

しかしあまりにも酷な機雷攻撃の数々や、凄惨で衝撃的な帰港など……。ゲーリングは何やってるんだ、ナチスのクソッタレ!!!