初パゾリーニ。
ギリシャ悲劇「オイディップス王」の映画化作品であるが、プロローグとエピローグに現代のパゾリーニの故郷を登場させることで、ニュアンスが変化している。また原作だと時系列の流れが本作と異なるらしく、本作のように親殺し→犯人探しではなく、犯人探し→親殺しであるようだ。つまり、その衝撃の事実に比重が置かれた作品だということ。
そう考えると、本作の過去から未来へ順方向に流れる物語は、その衝撃の事実よりも観客とオイディップスの認識のズレから来る感情にこそ比重が置かれているのだろう。
描かれている時代や映像感も含めてフェリーニの『サテリコン』を思い出させる作品であり、美術や撮影において強烈なインパクトを残す作品だった。
