すずき

アフリカン・カンフー・ナチスのすずきのレビュー・感想・評価

3.3
ガーナで影蛇拳を学ぶアデーは、格闘家として大成する夢を持っていた。
しかし、ガーナアーリア人と名乗る一団が道場破りに現れ、師匠を殺されてしまう。
彼らは、第二次世界大戦で密かに逃げ延びたアドルフ・ヒトラーと東條英機が同盟を組み、結成した一団だった。
(イタリアはポンコツなので排除された)
魔術の力で人々を洗脳していくヒトラーと、空手の力で傍若無人に振る舞う東條英機。
師匠の仇を討つ為、洗脳された恋人を取り戻す為に、アデーは彼らが主催する格闘技大会に出場する事に決めるが…

アフリカで、カンフーで、ナチス。
タイトルの3単語が全てと言っていいB級作品。
プロデューサー兼ヒトラー役のセバスチャン・スタインは、若い頃から日本在住のドイツ人。
彼がガーナに渡り、「ガーナのジョージ・ルーカス」の異名を持つサミュエル・K・ンカンサ監督(通称ニンジャマン)とタッグを組んだ。
東條英機役はセバスチャン・スタイン氏の友人で、演技素人の秋元義人氏を起用。
もう製作の時点で怪しい人たちしか出てこねえ!

そんな緩いノリで作られた本作だが、意外にも見られる出来で、案外面白かったのだ。
勿論、あちこちに突っ込みを入れながら、ではあるが。

現地でポピュラーな薬草酒、アドンコがスポンサーとなっている為、やたら露骨にアドンコが出てくる。
アドンコの宣伝キャラクター、「アドンコマン」も登場する始末で、なんかだんだん飲んでみたくなってくるぞ。サブミリナル効果?
日本では入手は難しいみたいだけど…。

BGMも低予算で、「アフリカン」「カンフー」「ナチス」の3単語を連呼するメインテーマと、
なんかほのぼのしたフリー素材っぽいBGM、
フェイタリティのシーンのやたら音質が悪いBGMがいい味出してる。
キャラクターが大声出すと音割れする所も、あんまりいい機材と録音環境じゃないんだろうなぁ…。

良かったキャラは、日本人という事もあってか東條英機!
とことん小物の下衆野郎なのも笑えるし、素人演技なのも妙にハマってる?
だらしない身体つきだけど、空手の実力は(作中設定で)相当で、拳に日輪のエフェクトが付くのにも笑った。
「勝者、さっきの黒人の女の子〜」、「痛みを誤魔化しているのか?これからもっと痛くしてやるぜ」など、日本語で迷台詞を連発!

でも1番のツッコミ所は、ヒトラーの腹心ゲーリングが、何の説明もなく黒人な所。

自分の中で賛否両論だった部分は、キャラクターの台詞の字幕が関西弁で翻訳されている所。
作品とガーナの雰囲気には合っててエエやん、とも思うけれど、一部ふざけ過ぎているように感じた所も。
バランスが難しい所で、完全に私個人の好みなんだけど。
吹替も字幕に倣って関西弁で吹き替えられているが、声で聞いてしまうと字幕以上にふざけ過ぎている印象だった。