20世紀初頭のジョージア州。母の死後に父から虐待を受ける少女で、出産した二人の子供も取り上げられて妹ネティとの交友だけが憩いのセリー。それすらも取り上げられて父の知人で三児の親ミスターの後妻として嫁いだ彼女が、虐げられる日々の中でジャズ歌手シュグや息子の嫁ソフィアらと手を取り合う半生を描くミュージカル映画です。
1983年のピューリッツァー賞に輝いたアリス・ウォーカーの代表作の二度目となる映画化作品で、1985年版を監督して称賛されるも一部で「白人」へ物言いもあったスピルバーグは制作へ退き、代わったガーナ出身のブリッツ・バザウレが2005年のブロードウェイ版を直接の原作とする事でミュージカルにスタイルチェンジして好評を得ました。
流石の手腕で喜怒哀楽を際立たせた巨匠の演出に対するミュージカルは力強さはありつつも加点ばかりではなく、物語と二重に出来事を語るため作品としての密度は減り、ハイライトたるシュグの登場を霞ませている所はあります。それでも「黒人差別」の森に隠れがちな「女性」という木々を希望の可能性を絶やさず照らそうとする一作です。