かぴばる

カラーパープルのかぴばるのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
4.2
 解放感のあるクライマックスと心温まる群像劇が描かれるミュージカル大作。ただテーマが黒人差別と男尊女卑(それも重めの)、舞台は20世紀前半のアメリカであり、21世紀育ち日本人男性の自分からするとあまりにかけ離れた設定であったため、少々感情移入しにくいところがあり客観的な「良い物語」止まりだった。当事者にしかわからないことも多いだろうしもうこれは仕方がない。

 とにかく皆歌唱力が高く、アリエルを務めたハリー・ベイリーが霞むほど。シュグ役やソフィア役の方のハリのある声はまさにミュージカル向き。劇場で観てよかった。痛快おビンタお姉さんことソフィアの活躍も楽しめたが、中盤のあの展開はなんなのだ。重すぎる。

 あとミスター。今作の男性は軒並みクズだけれど、セリーの半生を踏みにじった彼が終盤悔悛して許された感じになるのがよくわからなかった。ネティを呼び戻したといっても、そもそも追い出したのもお前だろうと。最後もみんなでアーメン言うとったし、これもやはりキリスト教が土台にある許しの文化なんだろうか。

 最序盤に産婆としてウーピー・ゴールドバーグらしき女性が出ており、こんな大物が端役で!?と思って鑑賞後に調べてみたら、なんと1985年版のセリーを演じていたことからくるカメオ出演だったらしい。無知でした。