スティーブン・スピルバーグ監督作「カラーパープル」、40年越しのリメイクで、ミュージカルの要素が加わっているのだが、これが本当に凄い。
20世紀前半のアメリカ南部が舞台。奴隷制度解放宣言から40年を経た時代であるが、黒人の労働条件は厳しく、白人は黒人を、黒人男性は黒人女性を差別する。そんな厳しい社会情勢が描かれている。当時を生きた黒人姉妹が、先進的な同性の仲間と出会いながら、新しい人生を切り開いていく物語である。
ミュージカル・パートで挿入されるゴスペルやソウルが、この映画で描かれる時代の黒人労働者から生まれた音楽であるブルースから発展した音楽である点がポイントだ。ブルースやゴスペルには、苦悩を嘆く歌や、そこからの解放を讃える歌が多く、本作の挿入曲も同様に当時の世情や解放が題材になっている。
そんな歌と演奏を、今までに触れた映画音楽で最高レベルと言って良い、迫力の音質で再生している。これ、いったいどういう仕掛けなのだろう?というぐらい音が凄い。大音量での鑑賞をお勧めしたい。