回想シーンでご飯3杯いける

CLOSE/クロースの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
3.8
「あぁ、美少年をキャスティングしたLGBTQ映画ね」と邪推した自分が恥ずかしくなる。もっと根源的な友情と、ローティーンならではの純粋さ、自分が認知する世界が巨大化していく事への戸惑いを描く作品だった。

作品内では、鑑賞前に僕が持っていたような偏見が、少年レオとレミを苦しめる原因のひとつとして描かれる。まだ幼いクラスメートならともかく、大人の僕がこうなのだから、本当に情けない。

中盤で起こる事件以降は、少年レオの言葉数が減り、表情による心理描写を中心に進行する。カンヌ国際映画祭入賞作品には、このようなワンシチュエーション的な構成を持つ作品が多い。説明台詞や派手な映像表現とは正反対を行く、映画に於ける究極のスタイル。後半はもうずっと画面を食い入るように観ていた。

2人の少年を囲む家族や教師が良い人ばかりで、思春期の子供を持つ、あるいは持っていた経験を持つ立場の人にとって学びの多い作品でもある。