回想シーンでご飯3杯いける

フォールガイの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

フォールガイ(2024年製作の映画)
3.2
アメリカのテレビドラマが原作で、アクション映画のスタントマンにスポットを当てた作品。

撮影中の事故で休業していた主人公(ライアン・ゴズリング)が復帰。スタントマンとして鍛えた運動神経を使って、ハリウッドに蔓延る悪人達に挑んでいく展開が痛快だ。アクション映画の製作現場を裏側から見られるお仕事ムービーとしての側面と、ハリウッドの業界システムを皮肉るブラック・コメディ要素、そして過去作品へのオマージュも散りばめられていて、エンタメ作品としては十分に楽しい。

しかし、あまり前例のない斬新な設定から想像できる面白さに到達しているかというと、やや物足りなさが残る。原因は恐らく、ストーリー上の柱がライアン・ゴズリングと元カノ役のエミリー・ブラントによる、軽いノリのロマコメになっているから。彼らの年齢や作品内で与えられているキャリア設定に対して台詞や行動が幼過ぎる。

80'sポップスの多用にも閉口。キッスのようにインパクトの強い曲は劇中の大事な部分で使うべきで、カバーバージョンも含めて何度も挿入するとクド過ぎ。ハリウッド批判のはずなのに、この作品自体がその典型に陥ってしまっては駄目だろう。

アクション映画やスタントマンに対する愛情表現は、エンドロールに集中している印象。メインの2人のうちどちらかは無名俳優にした方が裏方モノとして面白くなったはずだし、ライアン・ゴズリング以外にもっと沢山のスタントマン役を登場させるべきだった。実際この作品には多数のスタントマンが参加しているはずなので、そこがもどかしくて仕方ない。