途中はともかく最後の最後まで観終えたときに心に浮き上がってきたのは、うまくごまかされたような居心地の悪さ。こんなにうまく行くはずがないし個別的によかっただけで本質的には何も解決していないじゃないかという感覚。しかしそれでもなお、そういう疑念を部分的に吹き飛ばすような上手い作りの映画だった。情に流されない抑えの利いた音楽と踊りがこのストーリーの凡俗さを打ち消しているような気がする。
セリーの平凡さもシュグの派手さもよかったが、乱高下が激しい肝っ玉ソフィアが圧倒的な存在感を放っていた。出所後回復してからの暴れっぷりをもう少し堪能したかったな。