このレビューはネタバレを含みます
STUDIO4℃×吉本ということでどうせプペルの第二弾みたいなものだろうと鼻白み、あんなの観る気しないし観にいくけど足取り重いわぁと調子に乗ったことほざいたことを反省。
まあ映画観た後でもあの予告はいくらなんでも安直だなとは思うけど。。
予告に反していくらでも泣かせにいけるのに安易にそこにいかない品の良さに脱帽。
特にキクコがマリアちゃんと仲直りするシーンなんかキクコの顔すら見せずにさらっと大事なとこを見せるという上品さ。素晴らしい。
劇中2回出てくるキノコも何を表してるのかを考えると肉子ちゃんとみうのハードな人生もあくまでポップに見せていたり。
後に仕掛けは明かされるものの劇中に登場する生き物の声が普通に人声をあててる台詞になってたりして、その情報量も面白い。
過去の吉本×アニメ「マインドゲーム」が頭をよぎるほど映画全体がなかなかにアヴァンギャルドなのも観てて楽しい。
またその仕掛けで友達と肉子ちゃんの話をしているシーンでのトカゲの「似てない、似てるとも思わない」という台詞は結構核心をついてる気がして、出生についてもこれから先の未来についても不安があるキクコの背景が表されていて、
キクコの物分かりの良さやはっきりと嫌と言えない性格、もっと言うと誰からも嫌われないように生きてる性格がそういう背景からくるものなのかもと推測できる。
だからこそキクコは二宮に自分の思いを吐き出したことでやっと自分自身の本当の気持ちに向き合えたのだと思う。
終盤の展開も擬似家族ではあるんだけど、キクコが弱音を吐ける血縁じゃなく心でつながった家族になるという展開で、
物語の終わらせ方もあくまで一つの成長の過程で終わらせ、二人とその周りの生活がこれからも続いていくであろうと思わせる締め方も良き。
我慢できずに最後に出ちゃったさんまさんもまあ本編には出ないし許せるレベル。
もちろん原作(未読)がそうなんだろうというのもあるんだけど、予告やこの映画を取り巻く観る気を失わせるアレコレ(プペルプペルプペル)からは想像もつかないほどの良作。
ついでに言うとパンフにコメントを寄せているスタッフがめちゃくちゃ多くて、多分普段コメントを出すことはない枝葉の部分の人まで載ってて好感が持てる。素敵なパンフ。