Lilly

スーパーノヴァのLillyのレビュー・感想・評価

スーパーノヴァ(2020年製作の映画)
3.8
スタンリートゥッチとコリンファースの落ち着いた大人の演技が秀逸。演技というより、実生活の中で自然に湧き上がる感情をそのままフィルムに残したみたいな感じだったな。

この二人でないと成立しないような空気感が、漂っていたように思う。

台詞の合間の表情や目線、些細な身体の動きからも、プロットからわざと削ぎ落とされてる彼らの出会いや過去の諸々や、互いの愛情の深さまでも、観客にも伝わり、じんわり沁みるように感じられた。
過剰な演出はなく、進行はあくまで穏やかで、英国湖水地方の長閑な風景と共に流れていく。

長い年月を共に過ごした伴侶の若年性認知症とどう向き合うか?
見終わってすぐ頭の中がぐるぐる回り、この後2人はどんな選択をしたのだろう?
そして、私がサムなら、タスカーならどうするだろう?と、今も考え続けてる。

タスカーは病が進み書けなくなり、自らの生を絶とうと望むも、サムは最期まで寄り添いたいと願う。

リリーに湖畔で星を観ながら、タスカーが、
問い続けることをやめないで。と話していた。

人生って、最期の最期まで、どう生きるかを問われ続けるんだよね。
選ぶのは自分。そして、自分が大切に想う人々の幸せも含めて、何がBestな道なのかを問い続ける。人により答えは全く異なるだろう

静かで穏やかで、美しい映画だった。
簡単に答えが出そうにないから、まだまだ私はこの先もずっと考えてしまいそう。
Lilly

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