長年連れ添ったゲイカップルが、お互いへの深い愛を持ちながら辛い現実に向き合うロードムービー。
コリン・ファースとスタンリー・トゥッチの名優コンビのお芝居が秀逸、感動すること間違いなし。
会話も出演者も音楽も最低限で静かな作品だけど、美しいイギリス湖水地方の田園風景と名優の素晴らしいお芝居に、全く退屈せず観終えた。
静かなら良いって訳じゃないけど、イギリス映画の間の取り方とか演出すごく好きだな。
自分の体験からサムに深く感情移入してしまって、いろんな感情と記憶が呼び起こされた。まだ若い人が病に侵されて、段々といろんなことが出来なくなったり弱っていくのを見るのは本当に辛い。怖くてたまらないし、不安でしょうがないし、「まだ大丈夫」ってその現実から目を逸らして現実逃避してしまうのよね。
そういうリアルな感情を表現したコリン・ファースのお芝居、本当に素晴らしかった！
一方で、愛する人の負担になりたくない、元気だった頃の自分だけを覚えていてほしいと願うタスカーの気持ちも痛いほど伝わってきた。自分も恐怖と闘いながらも、ある選択を心に決めたタスカーの表情…スタンリー・トゥッチすごい。
ラストは観る人によって解釈が異なると思う。なにが最良かなんて答えはないけど…2人が納得して1番良い道を選んでほしいと思った。
ゲイカップルが主人公ではあるけど、誰もが共感して考えさせられる作品。感動しました。
