とらキチ

ボストン市庁舎のとらキチのレビュー・感想・評価

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)
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こちらでの上映最終日、遂に観た。上映時間、実に274分、4時間30分越え!
年明けには御歳92歳を迎える巨匠フレデリック・ワイズマン(イーストウッド御大と同い年)によって淡々と観察、切りとられ映し出される、自らの生誕の地ボストン。
一見、会議会議対話会議対話会議対話スピーチ対話…と時間がとても長くかかるし面倒臭い事ばっかりの連続だけど、これこそが人類がとても長い時間をかけ、血を流し犠牲を払いながらも創り出してきた“民主主義”というシステムなんだよ、という事を教えてくれる。
“public servant”として当たり前の“service”を提供しているに過ぎないんだけど、数百種類もの多岐に渡る事項にクラクラする。普段、その“service”を当たり前のように享受して、その舞台裏なんてほとんど考えた事など無かったので、このようなモノを見せて貰えると、これが“行政”なのかと新たな気付きが多い。
クッションにベッドのマットレスにベッドフレームに果ては馬鹿でかいBBQグリルまでと“分別”の概念が無い、ダイナミックなゴミ収集の様子には驚きを通り越して笑えてしまう。
監督に言わせれば「今作の主役はボストン市民だ」と仰るのだろうが、事実上の主役として“観察”されていたのが、当時のボストン市長マーティン・ウォルシュ。文字通りの旗振り役として発する言葉のひとつひとつが力強く重くて頼もしい。あちこちいろんな会合に顔を出していて、ホントに忙しそう。アイリッシュ系で労働者階級出身なのだという彼の出自は、いかにもボストン!って感じもするが、市長を退任した後の現在は、バイデン政権の労働長官!たしかに作中でも雇用問題に取り組んでいる様子が多く見られたが、実に見事なキャリアアップ。前回の大統領選挙ではサンダースにバイデンと碌な人材が払底してると思っていたけど、まだまだこんな人がいるだなんて民主党も捨てたものじゃない。後々大統領とかも目指して、地元ボストンにとって誇りの人物となるんだろうな。
ちなみに私の住んでいる自治体の市長は、先日金メダルを齧って、全国的に名を馳せました(泣)
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