サミー

オートクチュールのサミーのレビュー・感想・評価

オートクチュール(2021年製作の映画)
2.6
「感想」
地味ながらなかなか見応えがありました。
なかなか堅実に作られている映画でした。

衣服を作っている人たちの職人芸のようなものが見れて、個人的にはそこがすごく目を惹きました。

でも華やかさはあまりないです。
それは気に留めておいてください。



「作り」
華やかな業界に就業いる人たちを描いた内容であるのに、地味というのもアレなんですけれども…
ファッション業界がどうとかという感じよりも人間ドラマに目がいく映画でした。
*良質の映画を作る上で基本となるのはドラマですので、このような表現自体が本末転倒なものではあるのですが…
地味とは、その人間ドラマに凹凸・目立つ華やかさがそこまで大きくはないのでそうしました。ただし、決して淡々と描かれているだけじゃないんですよ。
しっかりと人間ドラマが描かれています。「月間ベスト」という程ではありませんが。


描いているのが個人主義で、そこがフランス人らしいな〜とは思いました。
なんだかんだいっても組織プレーをあまり好きではない。直情的で感性でそれをそのまま口にする・言動にする。それぞれが独自の美を追求する。貧富の差が現れていて、それは時に上質だったりもするが下品であったりもする。

私は個人的に映画で好んでいるもの。
正義と正義がぶつかるからこそ争いが起こるというのを描いている、もしくは共存協調共栄する。このようなものです。
この正義というものは難しい。
生まれ育った環境だったり、教育であったり、置かれている立場であったり。
そのようなもので根本から発生するので、人それぞれ違っていたりするものです。
だからぶつかるのです。
それはそれで仕方がありません。

作りなのに個人的な感情を少しこめます。
私が映画で嫌いなもの。
悪が登場する。
1、
ハリウッドで覆いステレオタイプの悪役が登場するもの。
こんなの問題外です。
2、
各自が心に持っている正義と言うものをに反していることをその登場人物が「仕方なくではなしに」おこなっていること。
そこに葛藤はあるの?
映画であり人間ドラマなのだから、そこは描いて欲しいし、大切にして欲しい。
3、
人間ドラマの名目を使っているだけで、そもそもがそのようなものは全くない。
ハリウッドのアクション映画に多い。
本気に取り組んでいないから、単なるアイデアやマニュアルで悪が登場する。

これを本作でみてみる。
本作に悪役というか嫌われてしまう人物が登場します。
ただこれは本人の育ちや環境に基づくものから登場した正義っぽいのが出てくるので、映画としては登場しうる人物だと思います。
現実的に考えても、こういう人たちはいるので。
*ただしこの登場人物の言動や行動には格差、貧富や差別といったものが端から見ると含まれていますので、そこは見る側としては留意が必要です。
作る側としては、現実にそのような人がいるので、配慮が必要なれども啓蒙の意味合いとしては必要な時もあるのかもしれません。

人間が置かれている環境というものはなかなか代えられないので、そのようなものは記録するとかその時の人を描写する意味で、描く必要が時にあるのかもしれません。
サミー

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