紅茶

オートクチュールの紅茶のネタバレレビュー・内容・結末

オートクチュール(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

わたしにはめちゃくちゃいい映画だった。いい監督なのではと思う

ミセス・ハリス、パリへ行く、
のような薔薇色の物語ももちろん元気が出るし好きなんだけど、
ちょっとビターなほうがわたしにはよい。



わたしはパリに(フランスでも)住めることなら住んでみたいと思っている夢の土地なんだけど、
移民の国フランスでもこれほど「フランス人・以外」は居心地の悪さがあったりするのか、というところを正面切って扱った映画(しかもディオールという高級メゾンを物語の表に出しながら、)初めて観た。
わたしも憧れだけで渡仏したってこれだなぁと思いながら完全にジェド側で鑑賞。実際東洋人「そこのスシどいてよ」とか言われとるし(スシって蔑称わたしゃあんまり気にならんけど、でもまあそれを使おうという気持ちに当てられることのダメージがな)


それにしてもひったくりとか安心がないな、
フランスから日本に来る人、なんでやねんあんな美しい国からと思ってたけどまあこういうことはないもんなと思ったり。

で、ジェドですが、窃盗は性癖のようなもんではと思うので、いやはや手塩をかけて育てたところで、高級品のオンパレード、宝物だらけのディオールのメゾンなんかに引き入れて大丈夫かとハラハラ観てましたがやはり大丈夫じゃなくて、エステルと一緒になってがっくり。
でもしきりにジェドに「お金になるから働かないか」ではなく
「その手は美しいものが作れるわよ」という誘い文句を投げかけるところは痺れました。「美しいものを作れる」よ!!
わたしがジェドでも心揺らぐ。
美しいものに無縁の暮らしで、美しいものってなによという感じでも、ナタリー・バイが演じるエステルに不敵に微笑まれてこれ言われたら揺らぐわよね。

それにしても美しさって若干の選民思想みたいなのもあるわよなというところで、古い友達との葛藤とかもリアル(それにしてもよい子!)やった。

エステルにしてもパリ郊外から通勤している。あれだけ立派な仕事をしているにもかかわらず、労働者の権利が日本より良いはずのフランスで!!
もろもろが夢の土地はないと思わせるリアルさ。
でも全体にことばの美しい映画だった。もちろんトルソーも綺麗。

それにしてもアンドレ以外みんないい人(アンドレもいい味出してる)カトリーヌみたいな人になりたいぜ。でも意地悪しといてやり返されたらうずくまって泣きべそかいてる情けないアンドレもわりと面白くてよかったです。あの物語いい人多すぎてアンドレが最も人間ぽかったわ。

残念ポイントは音楽でした。
トゥーマッチでした。
オープニングなんてB'zがかかってるのかと思ったわ(B'zは悪くありません、この作品にこれが合ってるんか!?というところ)
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