最果ての島に流刑になった元高級官僚チョン・ヤクチョンと漁夫の青年チャンデの師弟関係とその行く末を味わい深く描く。
映画は19世紀に海洋生物学書「茲山魚譜」を編纂したチョン・ヤクチョンの実話に基づいて作られている。
当初失意しかないヤクチョンと学びたい漁夫のチャンデが次第に師弟関係となり、ときには師弟が逆になって互いに友情ともいえる感情を深めていく姿は清々しい。
ヤクチョンを愛し献身的に支える女性カゴさんを『パラサイト 半地下の家族』の家政婦役だったイ・ジョンウンが演じているが何ともキュートでかわいい。二人が寄り添う後ろ姿のシーンは本当にすてきでこの映画の中でも特に好き。
ほぼ全編モノクロなのだが島のシーンは鮮やかな色彩が映えて美しく見え不思議。ドラマの転換で色彩が徐々に消え暗い世界を見せていく効果がすばらしい。前半と後半のイメージがガラッと変わる画面効果の落差は見事というしかない。
唯一のパートカラーが二人の人生を象徴する。
全く違う立場なのに師弟がお互いの尊敬を確認する姿には泣いた。
なかなか観る機会もない地味な作品で、prime videoでは有料配信ですが、何とかしてでも観ていただきたい作品です。
