Omizu

Motherland(原題)のOmizuのレビュー・感想・評価

Motherland(原題)(2017年製作の映画)
3.5
【第33回サンダンス映画祭 編集賞】
アジアンドキュメンタリーズで『マザーランド 世界一いそがしい産科医院』として配信中。サンダンス映画祭ワールド・シネマ・ドキュメンタリー・コンペティションに出品、編集賞を受賞した。

一日平均60人が生まれるというフィリピンのDr.ホセ・ファベラ記念病院を映した作品。『ローサは密告された』などのブリランテ・メンドーサが製作をつとめている。

広い部屋に何台ものベッドが敷き詰められ、プライバシーは全くない。保育器が足りないため、基本はカンガルーケア。かなり荒っぽいやり方だが、それを責める内容ではない。むしろこの病院は貧困層のセーフティネットとして機能していて、ほとんどの費用を支援団体が出してくれる。

妊婦、ないしは生んだばかりの母親たちを通してフィリピンの貧困というのが見えてくる。この病院に来るまでの交通費すらないとか、仕事がなく週2回くらいしか働いていないとか。また不妊器具についても、若い女性の母親は反対している、とか。

でも彼女たちは非常にポジティブで明るい。冗談を言い合い、時には乳が出ない他人の子に乳をあげる。

貧困のリアルと人間の力強さ、家族への愛を素朴に伝えてくる作品だった。
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