ナツミオ

クライ・マッチョのナツミオのレビュー・感想・評価

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)
3.8
WOWOW録画鑑賞
【W座からの招待状】

”老いと共に無知な自分を知る…"

ハリウッドの生ける伝説クリント・イーストウッドが91歳にして放った最新の監督主演作。
ロデオ界の元スターの老主人公が、とある少年と旅するさまを味わい深く綴るロードムービー。

原題 『Cry Macho』

2021年米作品
監督 クリント・イーストウッド
脚本 ニック・シェンク N・リチャード・ナッシュ
原作 N・リチャード・ナッシュ
『クライ・マッチョ』
音楽 マーク・マンシーナ
撮影 ベン・デイヴィス
出演 クリント・イーストウッド エデュアルド・ミネット ナタリア・トラヴェン ドワイト・ヨアカム フェルナンダ・ウレホラ 

翻訳者 松浦美奈

(WOWOW番組内容より)
1979年、テキサス。
かつてロデオ界のスターとして鳴らしたマイク・マイロ(イーストウッド)だが、落馬事故以来、彼の人生は下降線をたどり、今ではひとりわびしく暮らしていた。そんなある日、彼は元の雇い主のハワード(ヨアカム)から、別れた妻レタ(ウレホラ)に引き取られてメキシコで暮らしている13歳の息子ラフォ(ミネット)を是非自分の元に連れ戻して欲しい、と頼まれる。誘拐まがいのヤバイ仕事だったが、ハワードに何かと借りのあるマイクはその話を引き受け、メキシコへと向かう……。

クリント・イーストウッド監督デビュー50周年記念作品。
主演のイーストウッドと共演するラフォ役に大抜擢されたのは、メキシコの新星エドゥアルド・ミネット。

イーストウッドとミネット、
この2人のロードムービーをもっと観たかった‼️
擬似親子、師弟、友人。マルタも含めた家族。

マルタのレストラン

教会や食事のお祈りシーン。
マルタの慈悲深い、笑顔。
夫、娘、娘の夫を亡くすも4人の孫を養いながらも、マイロとラフォへも手を差し伸べるマルタに、“聖母マリア"を感じた。

マリアを演じたナタリア・トラヴェンの演技が光っている。


以下、ネタバレあり

【印象のシーン】
・マイロがハワードの元妻、レタに迫られるシーンはクリントの定番⁈
『運び屋』でも似たシーンが…

・車の故障で、メキシコの片田舎で足止め
野生馬の調教を手伝うマイロ。馬以外の動物も診るようになり、住民たちが押し寄せる。ドリトル先生状態‼️に笑える。

・荒馬に乗るマイロに、大丈夫か⁈
と、ドキドキ。心配無用だった…

・マルタの孫娘とマイロが手話⁇で会話するシーン、ほのぼの。手話でラフォの悪口に盛り上がる。
その後の夕食シーン、マルタと通じ合うマイロに、未来を感じる。

【印象のセリフ】
・マイロとラフォ、車内。
”昔はタフでも、今のあんたは弱い
 あんたはとても強かった……
  マッチョだ! …今は何もない"

“そうだ……昔は大した男だったよ
 でも今は違う…だが、いいか
  ’マッチョ‘は過大評価されている
   雄鷄にはいいが賞賛しすぎだ!"

”人は自分をマッチョに見せたがる
 力を誇示するために…
  それが何になる"

“まるで……
 全ての答えを知ってる気になるが…
  老いと共に無知な自分を知る…
   気づいた時には手遅れなんだ…"

・最後に2人のマッチョに別れを告げるラフォ。
雄鷄の“マッチョ"と、
昔の”マッチョ"であるマイク・マイロへ。
  
”俺の居場所はわかるだろ
 困ったら来い"

エンド・クレジットのフォントが、西部劇調。

そして、ロードムービーでもあり、擬似家族の物語、そして誰もが老いてマッチョが無意味と知る、現代版西部劇だ。
良作でした‼️‼️



エンドロールで流れる
“アランに捧ぐ"

アラン・ロバート・マレー氏のことと思われる。
2021年2月死去
音響編集者
イーストウッド作品の多くに参加
『Cry Macho』(2021)
『Richard Jewell』(2019)
『The Mule』(2018)
『ハドソン川の軌跡』(2016)
『アメリカン・スナイパー』(2014)
『硫黄島からの手紙』(2006)
他多数…

R.I.P.


【忘備録】
キャスト
・マイク・マイロ Mike Milo
- クリント・イーストウッド
かつてはロデオ界のスターだった調教師。

・ラファエル・“ラフォ”・ポルク Rafo
- エドゥアルド・ミネット
メキシコで暮らすハワードの息子。

・ハワード・ポルク Howard Polk
- ドワイト・ヨアカム
マイクの雇い主でありラフォの父。

・マルタ Marta
- ナタリア・トラヴェン
レストランのオーナー。

・レタ Leta
- フェルナンダ・ウレホラ
ハワードの酒浸りの妻。

・アウレリオ
- オラシオ・ガルシア・ロハス
レタの部下。

・セニョラ・レイエス
- アナ・レイ
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