ひでG

クライ・マッチョのひでGのレビュー・感想・評価

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)
3.5
映画雑誌の老舗「キネマ旬報」ベストテンの常連クリント・イーストウッドの(今のところ)最新作。
公開時にそれほど高い評判を聞かなかったので、正直ベストテンに入っている(しかも4位という好位置!)が意外だった。

確かに90歳を超えて、コンスタントに作品を作り、しかも、ほとんどハズレを出さない安定の高打率には心から拍手を送りたい。

キネ旬は、1位から10位まで点数を入れていく配点方式では、多くの人がテンに入れて、それが加算されていく本作のような安定作が上位に来るのはよくあることだ。

でも、、4位かな、、、?
確かにいつも通り話の運び方は巧みだし、安定してるので観やすいが、
そもそもイーストウッド映画にしては、お話が大したことない。
元雇い主からメキシコに居る息子をアメリカに連れてくるよう頼まれた元ロデオスター。
息子を見つけて、彼を説得して、元妻(息子の母)の元から連れ出す旅、、
息子は闘鶏のスター🐓マッチョも共にアメリカに行くことを決意するのだが、、、

年老いたイーストウッドと混血ボーイ。
んん、どこで見たことあるぞ、、
それに、母親側の追跡が大したことなく、結構あの店でゆっくり過ごしたりして、サスペンスとしての盛り上がりには欠ける。

安定はしてるけど、旨み、刺激の足りない味の落ちた老舗の逸品って感じ。

まあ、ラストは、ちょっと意外だし、90過ぎてこの落ちか、って、その若さは素晴らしいと思った!
でも、あの少年の方は、どうなるんだろ?

かつてのイーストウッド名作群ならば、
一つの結末に対して、何重にも解釈が分かれ、人物像自体も奥行きを感じさせてもらえたのに対して、ここでの登場人物は、どこか薄っぺらい。

マイクは、はい、約束は果たしましたよ、みたいな感じにも受け取れてしまう。
あの少年の明日は、どうなっていくか、そのことは問うていないのだろうか。んん、

結末も含めて、イーストウッド作品としては、かなり弱い、薄いものだと思った。

これが遺作になって欲しくないので、もう一本頑張ってね!
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