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SNS-少女たちの10日間-のsomaddesignのレビュー・感想・評価

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)
4.5
リアルだからこそ残せた。犬🐶GJ!

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巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋。幼い顔立ちをした3名の女優(18歳以上)は偽のSNSアカウントで12歳のふりをするという任務を与えられた。各々の部屋のPCで、連絡をしてきたすべての年齢の男性とコミュニケーションを取った。多くの成人男性は卑猥な要求をし、自身の性器の写真やポルノのリンクを送信してくる。精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家の万全なバックアップやアフターケアを用意しながら撮影を続けること10日間。児童への性的搾取者が徐々に尻尾を出し始めるのだった…。

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予告編の印象から、胸糞悪い変態をたくさん見せられる覚悟はしてたけど、思ってた以上に胸糞悪い。僅か104分の上映時間のうち300回くらい心の中で「キモっ!」て言った。

てっきりロリやペドフィリアが犯人かと思いきや、そういった性癖の人は稀でほとんどが普通の人。孤独なオッサンを想像してたけど、若い人から普通に家庭のある人。悠々自適なリタイア生活者から会社経営者まで幅広い。つまり何処にでもいる普通の人で、実際に撮影スタッフの知り合いまで釣れてしまった。10日間でコミュニケーションをとった2458人の中には単に会話の相手を求める人もいたけど、多くが性的欲求を満たすために少女を辱めようとする(30〜40人は女性で、中には同性愛者の人もいたそう)

性的な充足以上に、か弱く従順な存在に嫌がらせをして隷属させることに満足するみたい。
多少なりとも犯人側に同情したり共感する可能性を期待してたけど、思った以上に自分から遠い人たちで驚いた。同じ男性として恥かしいってレベルじゃなく、人として許されないカス野郎ばっかでウンザリ😩
男の自分が見てても吐き気がする醜悪な野郎どもばかり。鑑賞時たまたま隣が若い女性で、たびたび画面から顔を背けたり頭を抱えてたのが印象的。見えてないけど、表情を曇らせてるのが分かった。


監督によれば、計画段階ではネットを通じた児童虐待の実態を知るべく、犯人達の巧妙な話術や思考・技術を記録して社会的な議論に発展するつもりだったそう。だけど蓋を開けてみれば、スカイプが繋がった瞬間にはもう自慰を始めてたり、隙あらば少女を脱がそうとする。巧みな話術なんてものなくて、直情的に子供達を消耗品としてしか扱わない奴ばかり。挙句手前勝手な屁理屈で問題をすり替え、自らを正当化する始末。くたばれ。

目と口以外にボカシをかける不思議な画像処理も相まって、PCの向こう側の人たちが全員不気味! この画像処理に8人がかりで4ヶ月かけたというからどうかしてる! おかげで口元の優しい微笑みと裏腹の鋭く獲物を狙う目が映ってて怖い。

チェコ本国では映画公開をきっかけに警察が動き出す。390時間超の映像素材を元に53人の男性と1人の女性を捜査。すでに8人は裁判にかけられ各々有罪判決を受けた。「変態どもよ、震えて眠れ。私はお前らのせいでしばらくスカイプの音が怖い。」とは宇垣美里アナ(別名:総裁)の寄稿文。ホントに鑑賞後はスカイプの陽気な呼び出し音が地獄の呼び鈴に聞こえてくる。


一応ドキュメンタリーとして撮られているものの、撮影期間中の実態はリアリティショーに近いと感じた。社会的意義ある映像作品である一方で、残酷エンタメの要素も含んでて複雑な気持ちになった。

それにしても、原題「Caught in the Net」に対して邦題のダサさ。もうこの際分かりやすさ優先としても、ロゴのダサさに救いがない。日本の映画会社のおじさん達にとって、まだ『コンピューター』って8bitのイメージなんだろか?


27本目
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