夜行列車に乗ったカリート

SNS-少女たちの10日間-の夜行列車に乗ったカリートのレビュー・感想・評価

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)
3.2
チェコ産。歪んだ性欲が抑えられない、動物的男達を釣るドキュメンタリー映画。

ネットを使った児童性的虐待。その実態を撮影するため、少女に見える女優を雇いSNSアカウントを作成。その瞬間次々と接触してくる男達。彼らの欲望とその手口を暴く…。

SNSを利用して少女を的にする、おっさん・おじいさんの下半身事情を明るみにした映画です。かなり突っ込んだ内容になっていて、一応モザイクは掛けてありますが、なかなかの描写が出てきます。バイオレンスシーンは無いものの、出てくる場面は間違いなく犯罪そのもの。
苦手な人は見ない方が良いです。

おっさん・おじいさんが少女を狙うんですが、手口を見ていると会話し始めた段階で自分のちんちんに手を掛けていたり、ちんちんの写真を送ってきたり、とにかく自己ちんちんアピールが凄い。さらに裸を見せろと要求したり、勝手に写真をネットに流したり、脅したり…。
初対面の少女に対して、不健全とか言う類いの問題じゃないですよ。普通に犯罪なんですが、どうも彼らには罪を犯しているという意識が欠如している印象です。自分の欲のためなら思考が停止するんでしょう、まさにちんちんの権化たち。

こういう奴らに対して思うのは、ろくでもねえ奴等ということに尽きます。彼らだけなら「ネットのおっさんには気を付けようね」で終わるんですけど、本作ではちょっと別の問題も出ていたと思います。

作中で、一人だけ違った反応をする男が出てきます。その男は「ボクは少女たちとお話したいだけなんだスマイル」という感じで会話が始まり、その男前の顔立ちと、他者に寄り添う姿勢によって、少女(女優)から「あなたはとても魅力的に見える」と言わしめます。

結局この男は本当に下半身目的ではないことが分かるんですが、ここでその存在に対する危うさを感じました。
例えば仮に、'実は本当は下心があった'場合、少女は簡単に懐柔されて身体を許してしまうのでは…、ということが想像できます。現に「全部見せると言われた」とか言ってたし。

製作側の意図としては、荒波ばかりのネットだけど、こんなにピュアでカッコいい男性もいるんですよ…というような撮り方でした。しかし本当にそれで良いのか。不特定多数の少女とネット上で話したがる男というだけで、危うさがあるのではと感じてしまいます。簡単に性交渉まで持っていけるでしょコイツなら。
実際にこんな手口使ってる連中って沢山いるんでしょう。日本でもたまにニュースになりますよね。

作品に対しては、企画段階からどんな絵が撮れるかは想像出来ただろうし、映画の内容も全部予想通りに進んで終わっていきます。
がしかし、それでも色々考えさせられる映画でした。一見の価値有りです。