けんけん3号

ランド/再生の地のけんけん3号のネタバレレビュー・内容・結末

ランド/再生の地(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ジワっと優しく心に染みる作品だった。心に大きなダメージを負い、世間との関わりを絶ち大自然の中で生きていこうと、サバイバル生活を決心したエディ。サバイバル初心者にはあまりにも過酷な現実が襲う。こうなるのは分かるだろ〜、なんて思いながら鑑賞。エディがどうしたいのか?最低限の文明の力は使えばいいのにぃ〜、なんて思いもあり、やや感情移入出来ない部分もありつつ、でも心が壊れるほどの何かがあれば大自然にエスケープしたいエディの気持ちも分かるし…。まぁ、エディ自身も死ぬ程苦しいかっただろうし、だからといって死ねないし、これが彼女が考え抜いた結果の選択だったのだろう。厳しいサバイバルで死にそうになったエディはミゲルに助けられる。ミゲルの登場によって物語が動くが、その展開がゆるやかで良い。大自然の美しさの中、付かず離れず、与えるが求めず、心が解けるまで寄り添うミゲル。人と人が心を通わせる様子とエディが日に日にたくましくなり、独りで生きていけるようになっていく描き方が上手い。大自然の様々な表情、優しさ、美しさ、厳しさがエディの心情にシンクロする素敵な感じがあった。ミゲルが山小屋に来られなくなるところから、なんとなく想像はついたが、終盤の展開も優しくて良かった。身の上話がさらりと語られたのも、それだけで分かち合う2人の心情も絶妙に描かれていたと思う。そしてラストの生きる希望、もう一度人と関わろうとするエディの姿はどこか吹っ切れていて、我々の心も清々しくさせてくれた。人と人の繋がりが煩わしいとなりがちの現代、改めて人と人の繋がりの良さ、繋がり方を教えてくれたかな。サクッと鑑賞できる、心に優しい良作だった。