一粒万倍日

とんびの一粒万倍日のレビュー・感想・評価

とんび(2022年製作の映画)
4.0
2022年4月公開の映画を8月にアマプラで観れる幸せ。

「子育ては一番尊い仕事」と言われていますが、育てる環境は千差万別なので難しさも様々です。

物語は、シングルファーザーとなった阿部寛さん演じるヤスさんが、子の成長に伴う様々な壁にぶつかりながら、実際に「とんびが鷹を生んだ」ような泥臭くも素敵な生きざまが描かれています。

子育ては孤立化しやすいものですが、ヤスさんの人柄から、職場や友人など街の仲間に見守られ支えられ、孤立せずに軌道修正してもらうことが出来ました。

子育ては親育てとも言いますが、子のいない友人や街の人にとっても孤独を癒し成長させてくれる存在にもなっていました。

和尚さんが「20歳になったら読むように!」とのアキラに宛てた母親が亡くなった真実を打ち明ける手紙に、和尚さんのヤスとアキラ親子を見守る愛情が長期的視点を持って行われていたことに、ヤスさんは本当に周りの人に恵まれていたと思いました。

アキラが出版社への就活の時に書いたエントリーシート。エントリーシートに書く思いって、その人を良く表していると私は個人的に思っていて、アキラが父親のことを書いたことがまた泣けました。

完全な人間なんていないし完全な子育てが出来る人なんていないんだから、一人で抱え込まないで周りの人に助けてもらった方が幸せになれると改めて思った映画です。

カッコ良くは無いけれど、子育てってカッコ良いことばかりじゃないから、それでいいんだよ~!愛情表現が下手でも愛情はちゃんと伝わっている!とヤスさんが教えてくれました。

地域の繋がりが濃い、昭和の素敵な映画でした。