三樹夫

パーフェクト・ケアの三樹夫のレビュー・感想・評価

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)
3.8
医者と介護施設と組んで後見人詐欺をやっている主人公。医者に認知症だのなんだのと嘘の診断書書かせて、後見人が必要ですと裁判所に認めさせ、息のかかった介護施設にぶち込み金を吸い上げるという極悪人。この世には捕食者と獲物がいて、捕食者の側にいるためにはこういう極悪詐欺に心痛める甘ちゃんでは話にならんというのが主人公の哲学。後見人制度が悪用されるとどうなるかというのは、最近ブリトニー・スピアーズの件でちょっとだけ予備知識みたいなのがあったが、詐欺られる側からすると、介護施設にぶち込まれて一生軟禁状態だわ、家族も許可なしに会えないわ(つーかほぼ会えない)、財産吸い取られるわと、主人公はとんでもない鬼畜。目尻のシワが、今まで何千何万としてきた作り笑いで出来たシワであろうことを想像させ、ロザムンド・パイクがはまっていた。
だが、金持ってて家族もいない(いちいち裁判所に行って家族と争わなくていい)超絶良いカモのババアを見つけたと思ったら、とんでもなくヤベー奴をだった。ババアの笑顔が途中からシスの暗黒卿みないな邪悪微笑に見えてきた。

今後本当にこういうことが起こるんじゃなかろうかという題材。後見人詐欺がどうやったらできるかというのをレクチャーするかのような裏社会見学的な楽しみがある。ラストはカイジのEカードのルールみたいな感じというか皇帝を打つのは奴隷みたいな。主人公を殺そうとするにはやり方甘い、とりあえず目の前で殺してから死体の処理なんていくらでもできるだろとか思ったりするけど、主人公が引かぬ媚びぬ省みぬで信念突き通していてクズで、主人公に共感とかするタイプの作品では全くないが、サバサバしてるし主人公に対するヘイトは溜まらない。
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