マーラ・グレイソンは、プロの後見人である。認知症のため、まともな日常生活を送れなくなった独居老人を保護し、ホーム入居の世話から財産管理まで完璧にこなすのが仕事だ。極めて社会貢献度の高い仕事に見えるが、実態はそうではない。医師や老人ホームと結託し、裕福な年寄りを無理矢理認知症に仕立てて家裁に緊急審判を申し立て、本人不在のまま裁判所命令を取って老人ホームに放り込んで出られなくするのだ。判事に任命された後見人として、財産はマーラの意のままになり、そこから莫大な利益を得ているのだ。しかし現状に飽き足らないマーラは、町医者カレンをせっついて「カモ」を要求する。そしてついに見つけたのがジェニファー・ピーターソンという上品なおばあさま。彼女は40年も銀行で働いて、リタイア後は郊外の戸建てに一人暮らし。独身で係累もなく、かなり財産を溜め込んでいるようだ。カレンのクリニックをかかりつけ医にしているが、特に持病もなく長生きしそうである。まさに理想のカモだ。マーラは早速、デッチ上げの認知症診断書を家裁に提出し、ワケがわからずオロオロするばかりのジェニファーを「保護」してホームに軟禁、家と家財を差押え、さらに貸金庫からダイヤモンドも見つけ出し自分で保管することにした。あとは手数料名義で、ジェニファーの財産を売却して幾らでもカネを手に入れられる。しかもダイヤは未申告だから、まるまるガメてもバレることはないのだ。笑いの止まらないマーラだったが、彼女はまだ知る由もなかったのだ。ジェニファー・ピーターソンという老婆の正体を……
「パーフェクト・ケア」
以下、「あなたはネタバレか子羊か？」「…雌ネタバレよ」
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俺たちの「おっぱい弁護士」が「おっぱい後見人」となって帰ってきた！ というロザムンド・パイクのファンなら歓喜の声をあげる快作。おっぱいは出ないけどね（ブラは出ます）。
日本にももちろん後見人制度というのはあって、我々の業界でも、同居家族のいない患者さんの病状説明とかで「成年後見人」と会うことがあります。大抵は甥・姪とか弁護士ですが、本作は、これをビジネスにしてる女性が主人公。悪辣すぎるオンナですよ。そんな彼女が、猛烈なしっぺ返しを喰らうというストーリーですな。GoTファンも嬉しい、ティリオン役だったピーター・ディンクレイジも登場するし、鍵となるジェニファー役で名女優ダイアン・ウィーストも出てきます。ウィーストさん、フットルースの頃から「慈愛に満ちた女性」の典型でしたが、今回は序盤のイメージからどんどん変化していくのが見どころです。
よく出来たクライムコメディとして、退屈はしません。たとえビッチでも、ロザムンドなら許してしまう俺みたいな人間にはオススメの作品です^_^
