河原タカシ

14歳の栞の河原タカシのレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
3.6
『14歳の栞』の中で登場する2年6組の出演者が”大人”に対して「もう自分は大人だと思う」「早く大人になりたい」「まだ大人じゃない」とそれぞれの大人像を語るシーンが印象的で、”大人”と”子供”という境界線のグラデーションがちょうど個性の出やすい年代なんだろうなと思って興味深かった。確かに14歳って自分の価値観が定まってくるような年代だと思うし、”社会”を意識し始めるのもこの年代のような気がするので、”14歳”に焦点を当てて密着したのは企画として、ドラマとして正解のように感じた。思えばエヴァにしろ、ガンダムシリーズにしろ、ジャンプ系にしろ14歳を主人公にした国内作品は多い。あと去年の2020年に『ブック・スマート』、『ハーフ・オブ・イット』、『アルプススタンドのはしの方』、『mid90s』とティーンを主人公にした話題作が多かった中、それらを鑑賞して「こういう学園生活を送りたかった!」と他者の物語に憧れるような感想を抱いたけど、今作に関しては過去の自分を振り返させれ、記憶を辿りながら自分の物語として映像体験できたのが新しく、また”字幕”をつけていることから誰にでも開かれた優しい映画なのも良かったポイント。ただ不思議だったのは2年6組の出演者が自然にカメラを意識せず画面の中で正直に振る舞っていて、普通めちゃ緊張したり、適当なことを言っちゃいそうだけどどうやって出演者とコミュニケーションしながら撮影を進めたのか気になる。最後にどうでもいいことだけど、教室にちらっとユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』がうつっていて課題図書なのかなと思って最近の中学生すげーと感心してしまった。CHOCOLATEの次回作も期待しています!
河原タカシ

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