にく

Arc アークのにくのレビュー・感想・評価

Arc アーク(2021年製作の映画)
1.0
 石川慶『Arc アーク』(21)。オープニングにおける『サスペリア』(19)モドキのへなちょこ謎ダンス、その後のお祭りにおける「宝釣り」のような謎ボディワークス(プラスティネーション)、終盤における謎モノクロ・パート。長いし、ダサい。つまり脚本も演出も編集もまったくダメでした。残念無念。
 『ア・ゴースト・ストーリー』の様な時の流れを感じさせる演出もないし、同一人物に母と娘(清水くるみ)、祖母と孫(芳根京子)を演じさせているのも気持ちが悪い。映画の杜撰さを寺島しのぶ、倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫というバイプレーヤーを揃えて誤魔化した。モノクロ画面にも美しさはない。
 唐突に素人インタビューを始めるのも(それも2回も)作品世界の統一感を損ねている(小林薫のインタビューで吹いた)。敢えて壊したというのなら、最後も倍賞千恵子を使うべきではない。老けメイクを施した芳根京子か、そこでこそ素人を使うくらいの気概が欲しい。『蜂蜜と遠雷』もこんな感じなのか。
 「方舟」に「敢えて乗らなかった」身内の話に終始し、それに「乗れなかった」貧しき人々(他人)の様子については全く描かない。コロナ禍が猛威を振るう今日日、選民(富裕層)ばかりが永遠の生命を得て、それに飽きたら今度は「老いて死ぬ」選択を自由にできる、という物語のどこを楽しめというのか。


予告編を観て面白そうだなとは思いましたしきっと映画も観に行きますが、予告編中の「死を抗(あらが)う」という表現が気になりました。死「に」抗うなら分かるのですが。そういう表現があるのでしょうか。
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