【ヨコハマ・フットボール映画祭2022:弱肉強食の世界】
第94回 アカデミー国際長編映画賞スウェーデン代表作品。インテル・ミラノと契約し、イタリアへ渡ったものの鬱病を患い、引退したマルティン・ベングソンの自伝を基にした作品。
才能が認められ、インテル・ミラノに入るベングソン。イタリア語がわからない状態、不安と期待を胸にチームメイトたちに会うが重々しい空気が流れている。ここは弱肉強食の世界。莫大な富と名声に近い場所であるが、常に解雇と隣り合わせの地獄であった。ベングソンがチームに入ったことで、誰かが解雇となってしまうのだ。だから憎悪と嘲笑の眼差しが注がれるのだ。また、イタリア語がわからないことを良いことに、プレーの邪魔をしたりベングソンにはわからない悪口を吐いたりする。チームのオーラで彼は悪意を向けられていることを知るのだ。そんな地獄の状況でも、手を差し伸べてくれる仲間はいたりする。一緒に車を運転したり、雑談をして絆が深まる局面もある。しかし、それで傷が癒ぬほどの息苦しい世界が広がっていた。
本作は、サッカーのみならずスポーツや会社など、過度な弱肉強食社会がメンタルにもたらす影響を見つめた作品である。娯楽であるはずのサッカーが苦痛になる。でも苦痛の顔を見せずにサバイバルしなければいけない状況に胸が締め付けられました。
Filmarks未掲載作品についてはnoteにて紹介しました↓
https://note.com/chebunbun/n/n325e60bfeb6e