しゆ

世界を変えたテレビゲーム戦争のしゆのレビュー・感想・評価

4.0
ATARI創業者やニンテンドー・オブ・アメリカの会長、EA創業者といった名だたる業界人たちのインタビューを交えながらPlayStation誕生までのゲームの歴史を振り返るドキュメンタリー。
アメリカのビデオゲーム会社ATARIはその先駆けからテレビゲーム市場を牽引していたが、ATARIショックと呼ばれる衰退から免れず米国の市場規模は一時的に縮小する中、日本国内でマリオを筆頭とし成長する任天堂、打倒を掲げたSEGAの競争が描かれる。モータルコンバットの表現規制については「この番組には衝撃的な映像が含まれておりますが、作品のオリジナリティを尊重しそのまま放送いたします」の注意書きがあるくらいには中々ショッキングな映像だった。任天堂とSEGAがこんなにバチバチだったのは知らなかったし、昔の海外のCMだから日本の常識に当てはめるのは違うかもだけど「任天堂にできないことをSEGAはやる」って名指しで煽るCMを流すのは今じゃ全く考えられない。そのあと残り5分ほどでかなり巻かれていたけど任天堂と共同開発していたことで目覚めた虎、SONYのPlayStationが大躍進を遂げるのは数奇な運命で興味深かった。
劇中では熾烈な対立もスポットが当てられていたけど、結局のところラルフ・ベアもATARIも任天堂もSEGAもSONYもまた数多くの同業他社も「面白いもの、素晴らしいものを作りたい」その一心を根底としていて、企業間の争いも私怨なんかじゃなくそれどころかお互いをよきライバルとして認めているからこその当然の成り行きだったといえる。終盤で開発者の総括や開発現場の映像を見て思ったけど、アイデアひとつで動き出し喜びを与え、そしてもらえるモノ作りってやっぱり美しいと改めて感じた。
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