デニロ

邪魔者は殺せのデニロのネタバレレビュー・内容・結末

邪魔者は殺せ(1947年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1947年製作公開。イギリス。原作F・L・グリーン 。脚本F・L・グリーン、R・C・シェリフ。 キャロル・リード監督作品。40年ほど前テレビで観た記憶があった程度。ちゃんと観なくちゃと渋谷まで出かけた。

ダブリン。アイルランド独立の秘密結社のフラクション。そのリーダーがジェームズ・メイソン。彼は服役していて暫く娑婆の空気を吸っていない。資金源強奪作戦を組織するが、失敗。逃走の際襲撃先の職員を射殺し自身も深手を負う。そこから彼に纏わる人々のストーリーが展開する。

彼を思うアジトの娘。司祭。フラクションのメンバー。面倒はご免の馭者。メイスンの懸賞金目当ての浮浪者。こころ優しき通りすがりの婦人。医者モドキ、画家。

「ラ・ボエーム」に出てくるような下宿に住む画家、医者モドキが印象に残る。荘厳な死こそ最高の美と言って憚らぬ。その彼の下にジェームズ・メイスンが運び込まれる。おお、最高の美がやって来たと目を剥き創作に入る。医者モドキはその培われた倫理観から怪我の手当てをし命を救おうとする。生と死の狭間。彼を思うアジトの娘はあらゆる伝手を頼りに彼を探し出す。彼を逃がす船の出発時間が迫る。が、彼の足取りは遅々として進まない。すべては終わったと悟った彼女は自死を選ぶ。これから先の人生をここで生きる。サスペンスとラブストーリー。終幕はペペルモコ。

シネマヴェーラ渋谷 フィルム・ノワールⅢ(2020)にて
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