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悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズのblacknessfallのレビュー・感想・評価

3.5
みんな大好き『悪魔のいけにえ』
新作は作られる度に観ちゃうよな。「やっぱりオリジナルに勝てねえな、フーパーすげぇよ」と毎度思うことになってて、今度きっとそう思うと分かっていても、それでもレザーフェイス見たさに観る。

1974年の1作目の正統的続編と銘打ってるだけあって、あの唯一生き残った終盤からラストにかけて泣き叫び狂ってた彼女が40数年後の現代に老婆として登場する。そして蘇ったレザーフェイスと対峙する。
事態に翻弄されるだけだったヒロインが事態に立ち向かう主体性を持つという今風のアレンジは悪くないと思った。現に『ハロウィン』のリブートがそれで成功してたし、構造が同じだし期待ができる。

でも、こっちはこの設定あまり機能してなかった。この生き残りの彼女とレザーフェイスの話にフォーカスすればよかったのに、都会に疲れ田舎に理想郷コミュニティーを作りに来た若者達、その中のある姉妹がストーリーの中心になっている。ここが非常に納得できなかった。折角、50年近い歳月を経た被害者と加害者の邂逅という大ネタがあるのに、それを一見さんの姉妹の話のスパイス的なぞんざいな使い方をするのかと、、

人種間の軋轢、銃社会問題、SNSで肥大化した自意識、新自由主義に取り残されたゴーストタウン、今の要素を盛り込み現代性をしっかり描き、ゴアもスプラッターも今のレベルのハイクオリティーでやはり現代のホラー映画であることを強く印象付ける。
ストーリー展開も巧みでサスペンスフルでドキドキした。

でも、やっぱりあんま楽しめなかった。そのオリジナルの生き残りの女性の無駄使いと、なりより今回のレザーフェイス、レザーフェイスっぽくないんだよな。なんかジェイソンみたいなんだよな、チェーンソーを使わない殺しが多いし、やたらと力技で。何よりレザーフェイスはけっこう挙動不審でキョドったりする情緒不安定なとこがあるんだけど、そういう描写がないんだよな。むしろ寡黙でしっかりやること殺る感じで、繰り返すけどジェイソンに近いんだよな。

あと、これは他のフーパー以外の続編のレザーフェイス全般に言えるんだけど、フーパーが意識して入れたユーモアがないんだよな。不気味さやゴアは更新されてるのに、食事の時にわざわざメイクとドレスアップするレザーフェイス、発情のメタファーとして女性DJの股間にチェーンソーをあてがい絶叫するレザーフェイス、フーパー版にあった怖いけど思うわず笑ってしまうレザーフェイス・ギャグがないのが毎回残念に思うんだよ笑

やっぱりな結果にだったけど、また新作が出来れば観るよ。
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