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新・片腕必殺剣のblacknessfallのレビュー・感想・評価

新・片腕必殺剣(1971年製作の映画)
3.7
アマプラに落ちてるの見つけた。6日以内に配信終了だから即鑑賞。こういう情報分かりやすくしてほしいよな。

片腕必殺剣シリーズは俺達のジミー・ウォングさんの出世作だけど本作は新になってるからジミーさんはいない。でも、監督がチャン・チェだから観る価値はある。てか、おれはジミーさんよりチャン・チェ監督のファンだから逃げるわけにはいかないんだよ。

チャン・チェ監督と言えば京劇チックに大仰に見栄を切って見せる華麗でダイナミックなアクションに派手に血しぶきが飛び散り四肢が豪快に切断されるスプラッター・ゴア描写と外連味溢れる衣装や武器、そして単純な武侠話に意味不明なミステリーや結局のところあってもなくてもいい伏線張るという画的にも話的にも個性的過ぎる監督でヘンテコだがインパクトのある武侠映画撮る完全におれ好みの監督。何も知らずに見た『残酷復讐拳』を以来、チャン・チェ監督の映画は何でも観てきた笑

本作は話的な方の個性は控えめ。ストーリーも展開もシンプルな復讐を軸にした武侠映画。
二刀流剣術の使い手で武術界で頭角を現していた若き剣士レイが若い芽を摘み自分の時代を安泰にしたい武術界の大物ロンの奸計によってレイは片腕を切断することになる。武術界を去り静かに暮らしていたレイだが親友になった二刀流剣士フォンがレイのようにロンの奸計によって殺されてしまう。レイは復讐のため再び剣を取る。しかし、二刀流で破れたロンに片腕で勝てるのか!?レイの明日はどっちだ!?

なので『五毒拳』や『仮面復讐拳』のようなズントコ・ミステリーに脱力する楽しみはない。
考えてみると旧片腕も意外と手堅い脚本になってんだよな。

しかし、ビジュアル面はチャン・チェらしさが随所にあった。レイがロンに破れ自ら切断した片腕が派手に虚空にはね上がるシーンやフォンが宙吊りにされて胴体からスバッと真っ二つに斬られるシーンは残酷ゴア大好きっ子チャン・チェの作家性が炸裂してた。レイがロン一味を無双していくシーンのキメキメな京劇チックの殺陣なんかも期待したものを見せてもらった満足感を得られた。
チャン・チェ映画では地味な方なんだけど平均点はいってる感じ。

あと、チャン・チェと言えばあからさまでベタ過ぎるわりに回収されないことも多い伏線なんだけど、本作ではロンに破れたフォンが「二刀流では勝てない、刀が3本なら勝てる」と言って絶命する。
このセリフがレイとロンの最終決戦の山場にレイの回想としてインサートされる。これをヒントに追い詰められていたレイがある工夫をして刀を3本使ってロンを刺殺する。大逆転勝利だー😆めずらしく伏線がキレイに回収されてるーチャン・チェなのにー🤩
と、一瞬感動したんだけど、フォンの絶命の時のセリフ、レイはその場にいないんだよ。見てないのに回想できるはずないよな🤣
こういうとこもチャン・チェの凄さだよ😏
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